※廃墟じゃないです。廃墟テイストの部分を持った公園です。
*基本データ
場所:岐阜県養老郡養老町
行った日:2017/09/17
廃墟になった日:1995年オープン
詳しく:荒川修作さんとマドラン・ギンズさんという方の連作であるアーティスティック公園。「現在の世界の絶望的な状況を希望ある未来に転換させる」試みを体現した場所。
*評価
怖さ:★★☆☆☆
廃れさ:★☆☆☆☆
入りやすさ:入場料750円
*あれこれ
岐阜の大本命です。廃墟ではないので、ここに書くか、記事のナンバリングをやめて番外編とするか、悩みましたが、廃墟ちっくなオブジェもあったということでそのままカウントしていきます。ただし廃墟ではありませんので悪しからず。最高に意味不明なところでした。ずっと行きたかったので夢叶って良かったです。
「岐阜に怪我しても自己責任の変な公園がある」くらいの情報ではじめは知り(褒めていますよ)、それは正しかったのだと入口看板で思い知ることになります。
オレンジで線を引いたところに注目です。この日は雨でした。
基本データに書いた通りで、希望ある未来への建築物が並ぶ公園です。自由に中に入ったり登ったりすることができます。造られたお2人によりますと、明るい未来のためにはまず「死という概念」を覆す、つまり反転するという動きが必要で、その動きを現すのには人間と常に密接に関わる建築物が理想との結論に至り、このような試み、呼びかけをしているようです。
わたしの大好きなシュルレアリスムともとれるオブジェのネーミングセンス、無理と諦めるぎりぎりの曲線や傾斜の造り、ともかく岐阜県の田舎にひっそりと存在するのに凄まじいエネルギーを発している公園です。
ちなみに東京は三鷹市にも「養老天命反転住宅」 という宿泊もできる建築物があるみたいなので、今度そちらにも遊びに行こうと思っています。割引券もらいましたし。
前置きが長くなりましたが写真も結構な量ですので、勝手に陳腐な解釈も添えながら、タイトルがついているものは題しながら、記録しておきます。
入ってすぐの眺めです。天気悪いです。
「養老天命反転地記念館」
入ってすぐ左側に見える斜めの屋根の平たい建物です。床も斜めです。設計図やドキュメンタリー映像が流れていました。
1番言葉で説明のある建築物でこれです。すべてを飲み込むにはまったく理解力が及ばず、こいういモノとして受け入れるところがシュルレアリスムに近いかなと勝手に思いました。理解しようとするにはかなりのエネルギーが必要そうです。
「不死門」
記念館を出て次に見えるのはこれです。文字がくり抜かれた、ぱっと見た感じなにかの儀式に使えそうなオブジェです。
角っこには猫もおりまして、見つめ合うこともできます。
「昆虫山脈」
そろそろ頭の上に疑問符が浮かび上がる頃と思いますが、石が積み重なった上には井戸のある、小高い山のような空間です。精巧に計算された建築物が多い中、唯一自然物でできた場所でしょうか。
本来地下深くにある井戸が、頂上にあります。
「極限で似るものの家」
そろそろ本気を出し始めてきます。
昆虫山脈から、白い板でぶつ切りになった家? が見えます。ここがメインともいえる、極限で似るものの家です。
ここから、楕円形のフィールドまでは、画像のように地図帳になっています。こちらは石川県です。聞いたこともない地名や、中国語や英語、ギリシャ文字の表記もあり、かなり広範囲にわたって刻まれています。
家といえども(韻は踏んでません)、地面がかなり斜め、加えて少しツヤの出る素材の地面で、雨でだいぶ滑りやすくなっていました。
家の中はもっと驚きです。というか、もはや中ではありません。
このずっと続く狭い板に、空間がぶった切られています。
ソファもローテーブルもダイニングテーブルも椅子もお風呂もトイレもキッチンも冷蔵庫もテレビも、分け隔てなく分断されています。分断されているから分け隔ててるじゃんと言葉遊びをしたくなるほどです。
時々地図帳ではなくガラス張りの地面があり、よく見ると切られた半分の浴槽がガラスの下にあったり、要するに家の中と下と外と、ともかくあちこちに生きるために使うものが飛ばされているわけです。 反転ってこういうことかなと、少しだけ分かるわけです。
このぶった切りシリーズはおそらくここの真骨頂であり、モチーフとして別のオブジェにも多々使われていました。
廃墟味ありますね。
狭い板の間は人間の横幅をまったく考慮せずに作られているくらいの長さしかなく、通れるところ通れないところ、加えて地面は斜めのまま、そして立ちはだかるソファたちの欠片、絶対暮らせないなと思いました。
「精緻の搭」
さて、この家からはわりとひとつづきで道が成り立っています。
死なない為の道(見にくいですが書いてあります)という名のくぼみを通って、塔を目指します。毛虫がいっぱいいます。
振り返るとこの眺めです。
精緻の搭をさらに上に登り、人がすれ違えないほどの細い道を延々と進むと展望台のようなひらけたところに出ます。
↓ここから先は駆け足で、雨も強くてあまり堪能できなかったので写真も厳選したものですが、タイトルとともにお届けします。
「地震」
中はどん詰まりでした。暗いです。
「白昼の混乱地帯」
ここ、セカンドシングルのジャケットで使いますね。(関連:http://hiyapa.hatenablog.com/entry/2017/07/20/205601)
「切り閉じの間」
かなり傾斜が激しく、絶好調に滑ります。ちなみに銀色溶岩は俯瞰すると、日本列島の形をしているみたいです。
「もののあはれ変容器」
ベッドだって一刀両断です。
「宿命の家」
スタバのフラペチーノをほっぺたにひっつけて撮るより、遥かにフォトジェニックな写真が撮れました。
まだまだみどころはありまして、興味深いタイトルのオブジェもありまして、全部撮れていないのとあまりに長くなるのとでこのへんにしておきますが、もし興味のある方は「養老天命反転地」で検索していただけると幸いでございます。
お天気はあいにくの雨でしたが、それはそれで乙な探索となりました。廃墟に関わずですけれどおうちや建物を見るのは楽しいですね。
長くなってしまいましたが最後まで見てくださった方、ありがとうございました。次からは(たぶん)普通の廃墟を記事にしていきます。
わざわざ2回も太赤字にしました。第3関門は以下です。
ここまで見てくださりありがとうございます。もう、すぐそこです。
「はいきょがあると探検願」の発行場へお越しくださいませ。
大事なことはなんとやら、というやつですね。