2023/01/08更新……再訪写真追加。
雨がひどくなってきました。尾道の記事はひとまずここまでです。(cf.活版カムパネルラ→その70:店舗跡【広島県尾道市】+廃墟探検願カードをつくりました - 廃墟ガールの廃ログ、魔女宅→その71:住居跡【広島県尾道市】 - 廃墟ガールの廃ログ、実証実験→その72:多門亭茶屋跡地 - 廃墟ガールの廃ログ)
*基本データ
場所:広島県尾道市
行った日:2018/02/10
廃墟になった日:不明だが2010年時点では廃墟化していた模様
詳しく:地元のホテル跡地。屋上にはゴンドラがあり、尾道を一望できた。
*評価
怖さ:★★★☆☆
廃れさ:★★★★★
入りやすさ:★★★☆☆
*あれこれ
尾道駅からの個性溢れる商店街、千光寺公園への山道坂道一帯、そのどちらをも少し逸れた住宅街にそれは佇みます。
8年前から少なくとも廃墟になっているようですが、「うずしお観光ビル」で検索しますと、Google先生もしっかりと位置を把握してらっしゃいます。ですので、こちらは2018/02/10現在、かなり行きやすい廃墟となります。なんせナビが案内してくれますので‥‥。
「目的地に近づきました」のアナウンスはこの建物付近で鳴ります。なかなか衝撃な見た目をしているのです。
様々なアングルから一周していきます。まずは遠巻きに一枚。ここに着いた時間帯の雨がすごく、空がなんともアンニュイな色味をしています。余談ですがこの灰色とも白ともいえないのぺっとしたベタ塗りの空が(今回ちょっと雲ありますけど)わたしは1番好みです。
さらに近づいてみましょう。
四階建ての建物、四階は展望台つきレストランだったのでしょうか。魚眼のような窓が判別できます。屋上にはゴンドラがあったらしいです。一介の観光ホテルとしてはかなり奇抜です。やっていれば泊まってみたいです。
なんにせよ、朽ちています。
不思議な構造です。素直に上に真っすぐは伸びられなかったようです。添え木が間に合わなかったのでしょうね。
反対側からの眺めはこちらです。ゴンドラのレールの跡がより細かく見えます。楽しそうです。
裏手にきました。周りを見て分かります通り、ほんとうにいっぱしの住宅街にでんとあるのです。隣接する裏手は駐車場になっていました。
管理人のいた事務所でしょうか。看板が無惨な状態です。
裏側のおどろおどろしさも圧巻です。
眺めているうちは、住宅街であることも、雨が降っていることも忘れ、立ちつくします。
上の階を雫の中見上げて、
濡れながら下のフロアを見つめます。
いろいろなしがらみさえなければ、こちらの裏口階段から入店できそうでした。保存状態はぎりぎりの雰囲気がありますので、踏み入れた途端どうなるか、不安は満載です。
空と外壁のくすんだ色味が合っていて、雨の中さまざまなドラマの生まれそうなシチュエーションでした。実際には近隣住人の移動にまつわるすれ違いしか起こらず、かなり閑静でございました。
不思議と不気味と無骨と絶妙な均衡が渦巻くうずしおホテルです。
では、肝心な顔となる正面はいかがでしょう。
いまは観光ホテルよりももっと実用的な使われ方をしているようです。
ここをこの場所に指定した自治体様の計画書や経緯をぜひインタビューしてみたいものです。ゴミ当番がまわってきたら廃墟の一階の鍵を手に入れ、廃墟の扉の開け閉めを管理するわけです。人生でそんな経験を一度でもしたことのあるひとというのは人口の何パーセントでしょう。捨てに行くのも廃墟と目と鼻の先です。「うずしお観光ビル」の掠れた文字を見てしみじみしようとするも、どうしても頭に入ってくるのは「紙類」「警告」ばかりです。鑑賞性と実用性を兼ね備えまくりまくった、生ける者との共存を目指した新しいかたちの廃墟でした。