*基本データ
場所:東京都港区三田4丁目15-29
行った日:2018/08/11
廃墟になった日:2009/03
詳しく:クウェート大使館の目の前、193戸からなるかなり大規模な集合住宅。9年間の廃墟期間を経て、取り壊しが決定した模様。
②(cf.①→その122:メゾンド聖坂 - 廃墟ガールの廃ログ)
*評価
怖さ:★☆☆☆☆
廃れさ:★☆☆☆☆
入りやすさ:☆☆☆☆☆
*あれこれ
長く続く聖(ひじり)坂の廃墟三兄弟の2番手です。上に貼りました地図のシルエットから、かなり細長い建物であることが分かります。長兄のメゾンド聖坂さんと同じく、反対車線から限界まで引いてみても、iPhoneでは全貌を捕えられません。
これまた長兄と同じく工事を匂わせるオレンジと黒の斜めストライプ、そして解体計画の貼り紙があり、わたしがお散歩したのはこの建物の年表のかなり後半部分なのでしょう。歴史が途切れる前にお目にかかれて良かったなと思います。
じっと潜み、身を固くして、解体までを待っているように見えます。この曇天がそう感じさせるのかもしれません。
9年前、もしくは管理者がもっと権利を持っていた現役の頃から貼られていたかもしれない、掲示板のお知らせです。「 を発見した場合は直ちに通報する。」とあります。ただちに、としないところにほんのり純文学さを感じますが、きっと赤インクで刷られた肝心な部分は消えてしまっています。(cf.大喜利しましょう→その88:山手荘 - 廃墟ガールの廃ログ)
オレンジと黒の隙間へ手を伸ばしました。港区の物件をこう記していいのか千葉県民には分かりませんが、よくある団地然とした光景が広がっていました。ボールや縄跳びで遊ぶ子どもたち、段差やくぼみををすぐ自分たちだけのベンチにして語らう学生、自転車置き場で会議をするママ、夜に階段の音を響かせて帰宅するパパ、踊り場の電灯に群がる羽音、いろいろな姿や声や音や光が、早送られ、この建物だけが残りました。そしてもうすぐここもさようならということなのです。
坂に面した正面ではそこまで古びた様子が窺えませんでしたけれど、細い横道に入って、側面を見上げることができました。そうすると壁のはがれや傷が目立ち、9年間の月日を発見できました。
港区というのはほとんどわたしの行動範囲ではなく、次ここを通るときにはきっとこのだんだんになった壁も、団地の古き良き幻影も、見えないのでしょうけれど、永きにわたって愛されていたみんなの暮らす場所を、ふと感じる物件でした。
*廃墟残
残りストック:7
*おまけ
その122でも使いまわしたGoogle先生の地図で分かる通り、あと1つの廃墟併せ3つの廃墟が、この聖坂の、クウェート大使館と三田中学校のあたりに集合しています。
少々暗い写りの、こちらがクウェート大使館です。まったく120%廃墟ではないですが、面白いデザインの建物で、思わず写真を撮ってしまいました。