廃墟と呼ぶにははるかに美しい、わたしの人生の目標のひとつでした。メモです。
*基本データ
行った日:2018/12/01
廃墟になった日:2001年
詳しく:廃墟ではないが、2001年まで実際にオリエント急行として走っていた車両が2004年に車内のガラス細工を手がけた宝飾作家ルネ・ラリック美術館が箱根にできたのを記念して、2004年に運ばれたもの。
*評価
怖さ:☆☆☆☆☆
美しさ:★★★★★
入りやすさ:毎時00分から各店員20名2100円にてアフタヌーンティーと車両解説ツアーあり。
*あれこれ
遊びすぎて普通の形式で書くのが久々です。どきどきします。(cf.遊びすぎ→その145:廃ビル【お散歩熱海1/7.5】 - 廃墟ガールの廃ログ)
以前箱根に出向いたときはオリエント急行内のツアー自体がやっておらず、なくなく断念した上、事前予約ができないのに毎ツアー定員20名?! タワーオブテラーのツアーより少ないじゃん?! と絶望していたのですけれど、中学時代からのお友達紫芋ちゃんとチャレンジし、見事乗車の運びとなりました。最高でした。
(cf.箱根→その17:底倉温泉かめ張り跡地 - 廃墟ガールの廃ログ&ホテルハイタワー→その37:ホテルハイタワー跡地 - 廃墟ガールの廃ログ)
Première classe です。撮影者のセンスの欠片もなく上で見切れている楕円がオリエント急行のマークだそうです。
切符も切っていただきましたので、では乗車いたします。
すぐ右手はお手洗いです。そして個室を通りすぎ、開くドアから「これぞ」たちが覗きます。しかも、ここでお紅茶を嗜めるとくれば、至福のひとときが続きます。
ため息が漏れます。ただの写真ではありません、ここに存在しているのです。
先の写真とすこしずらしたアングルですが、柔らかなお椅子様――実際この椅子の中は藁が入っており、ほどよい弾力をもって座り主を受け入れてくれます。中に小説家志望あるいは女流作家の熱烈ファンは入っていませんよ。また、車両にあるすべての椅子たちは、1920年代に足を列車に落ち着けて以来、1度も外に出たことはないそうでした。たいそうな箱入り娘たちなのです。ダッシュ内長くね? ――の向こうの戸は個室になっています。みなと顔をつき合わせず、お給仕さんが個別指導してくださる空間です。
宝飾作家ルネ・ラリックの作品はこちら、「彫像と葡萄」といいまして、様々なポーズの男女が描かれており、その組み合わせは何種類もあるとのことでした。オリエント急行に乗れたことでアドレナリンが出すぎていて数字を忘れました。
さ、いまいちどこの椅子に腰を落ちつかせて、アフタヌーンティーのお時間といたしましょう。
カップやミルクピッチャーなど至るところにロゴが入っておいででした。45分で車内を探検して、職員さんのお話を聞いて、ゆったり愉しむには少々多い量のお紅茶ですが、さすがはホスピタリティの賜といったところでしょうか。
席は16番です。現代の日本にも根ざしている呼び出しボタンとのことでした。「チーズハンバーグ定食ひとつ」ではなく、「きょうのワインはどちらのもの?」みたいなことでしょうか。(ちょっと意味が分かりませんね)
お育ちの良い子にみえます。みえることにしておいてください。
ちなみにこれらのテーブルはここがダンスホールになれるよう、両脇に収納可能なのだそうです。食堂の姿も舞踏会の姿も想像してうっとりしてしまいます。
ne tirer la poignée qu’en cas de danger
多言語で書かれてあります。
英国マニアでも世界史オタクでもなんでもなく、ただ雰囲気が好きで乗りたい夢を持っていたしがない廃墟ガールのお出かけメモですが、それこそ、ほんとうに、夢のような出来事でした。
(cf.お茶は好きです→その51:フランス山 - 廃墟ガールの廃ログ)
*廃墟残
残りストック:3(再びピンチです)
*おまけ
おまけではなく、そもそも箱根に行きたかった理由として「ルドン展」を見ることが第一だったのです。これは完全なる中途半端な知識しか持っていないわたしの偏見ですが、いまの日本であれば当たり前のように受け入れられるテイストの作品たち――ダリやマグリットやブリューゲル(版画家のほうの)やルドン――が、何百年も前に平気な顔で自身の作風を貫いている、そんな美術史がとても面白いなと思います。
写真撮影OKエリアです。「ル」や「ド」の中で人間イライラ棒をしながら写真撮影している輩はわたしたちしかおりませんでした。
*おまけのおまけ
今年も飽きずになんだかんだいろいろなところにお散歩し、メモを続けることができました。読んでくださったり、お星様やB! やコメントなどしてくださったり、嬉しい限りです。つい先日書き初めならぬ書き納め(今年の一大ニュースをしたためます)をした作品を貼っつけ、今年最後の記事とさせていただきます。高熱で寝込んでいるヒヤパ 年末の挨拶に変えて