*基本データ
場所:福岡県福岡市中央区天神1丁目4-2エルガーラ8階大ホール(天神駅から歩ける)
行った日:2019/10/19
廃墟になった日:2019/10/20 初版発行
詳しく:クラウドファンディングによって制作された、全5編92ページからなる短編集。すべての話に廃墟が出てくることからその名がついている。著者ヒダマル(id:hidamaru)。
*評価
怖さ:★★★★★
廃れさ:★★★★★
見つけやすさ:え-19ブースにて販売済
*あれこれ
小さい頃――といっても中学生くらいまで、ですので小さい頃という表現は誤りかもしれません――、漫画家になりたいと思っていました。自分の考えていることを漫画にできれば、空だって飛べるし魔法使いにもスパイにも王様にも、なんにでもなれると夢見たのです。ただ絵がへたくそでした。好きと上手は違うと気づいてしまいました。高校生になってからは、小説家になりたいと思っていました。絵が描けなければ描かなければ良いのです。文字だけでもなんにだってなることができます。思いを引きずって文章を書くような大学へ進みました。元来の真面目さがたたってその後は単なる社畜として人生を歩みだし、時が経ち、時が経ち、時が経ったり時が経ったりして、今に至る訳ですが、自己満のアウトプット場所、廃墟メモのまとめ場所としてこのブログをつくり、早3年目となります。
……といったことをきちんと書いたことは1度もありません。が、何故かわたしのこういった背景を見抜き、声をかけてくださった方がいらっしゃいました。その方とともに、「廃墟」をテーマとして、短編集をつくりました。
10月某日(いや上に行った日書いてありますが)、漫画家にも小説家にもなれていないしがない廃墟ガールは、現代の科学技術の集大成飛行機を使って空を飛びました。向かった先は――
魚介だしのつゆとやーらかい麺のおうどんでおなじみ、
まるで歌舞伎町だった中洲でおなじみ、(老舗バーに1人で乗り込む廃墟ガール。リンゴリキュールとグレープフルーツ、下はミントのリキュールです。美味でした。)
那珂川が綺麗でおなじみ、福岡県です。初上陸しました。(cf.書き方ワンパターンかよ→その97:ナポリの太陽【画像大量】 - 廃墟ガールの廃ログ、その115:住居跡【灼熱長野1/6】 - 廃墟ガールの廃ログ)
福岡上陸の理由は簡単です。文学フリマというイベントにゆくためです。コミケの小説版、くらいにしか認識していませんでしたけど、さて会場であるエルガーラホールへと行ってみましょう。エルガーラってRPGの呪文かよ絶対覚えられねーと思っていましたけど、何度か声にするうち言えるようになりました。
エルガーラに入ってすぐ、案内板がございました。指示に従い8階へ上がります。
永久=エイキュウで覚えている当該ブースへ進みましょう。入口から近くのホール手前に、こんなシールを発見します。
なにやら見えてまいりました。歯車やブロックやメジャー、黒茶色の保護色を基調とした空間が、目の前にあります。
手を伸ばしてみましょう。
各話のあらすじが書いてあります。全部で5編、それぞれ廃墟のそばのおはなしです。
おはなしを寄稿させていただいた、『廃墟短編集』です!! むかしちょっとDTPをかじったことがあり、ひさびさにトンボやら奥付やら解像度やらと闘って、手間ですし大変ですがとても楽しかったです。表紙、裏表紙、背表紙にまで、ヒダマルさんのセンスが光ります。かれこれ、はじめにお声かけいただいてからだと、半年くらいでの納品でした。納期気にしすぎババアと化し何度もヒダマルさんを不安に煽りご迷惑をたくさんおかけしましたが、素敵に仕上げてくださいました。ほんとうに感謝しかございません。ありがとうございます。
中身は掲載順&先程のあらすじ順で『廃墟ピンキーメモリー』『大廃建之比売』『箱庭の外延は窓~廃墟探偵シリーズ』『大廃建之比売リターンズ』『花火』の5作です。真ん中がヒヤパ作です。あらすじにある「天空の廃墟」はその128:ホテルニュー鳴門【画像大量】 - 廃墟ガールの廃ログイメージなのだそうです。嬉しくなりました。
好きな作家は誰かと聞かれれば、まずは西尾維新と答えます。わたしの神様です。宇宙一の推しは大垣志人くんです。最近の作品は追えておらず分かりませんけれど、初期の反骨精神むき出しのとんがった文字列を追って、世界が開けた経験をしたからです。そうでなければ森博嗣と答えます。綺麗事のない綺麗な世界、それがスカイクロラの世界です。ミステリなのにぼんやりした文体、憧れます。かなり影響を受けていると思われます。それと江戸川乱歩、坂口安吾と続くのです。
サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し (講談社ノベルス)
- 作者: 西尾維新,竹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/11/07
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 75回
- この商品を含むブログ (250件) を見る
これまで読んできたいろいろを吸収し、好き勝手書きましたのは廃墟探偵シリーズ、第2話です。1話も思い返せばもともとコラボで生まれたものでした。フルネームで在原爽良さん(読み方不明)、と書く、廃墟探偵を名乗る人間があーだこーだするおはなしです。
舞台は「反転島」という架空の場所ですが、長崎の池島がモデルです。そして、廃墟からイメージされる、刹那、儚さ、夢みたい、お伽噺、耽美、綺麗なのにどこか怖い、それが美しい――から思い浮かんだ『外科室』『女王の百年密室』『école 』を下敷きに、書き始めました。(結果お耽美さの欠片もない文章になってしまいましたが……)
女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN 百年シリーズ (講談社文庫)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/08/24
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
しかもお客さんではなく、出展側として潜入させていただきましたため、サークル主であるヒダマルさんの隣でわーきゃー騒ぐだけの売り子として活躍(?)してまいりました。廃墟が好きな方、じっくり試し読みをして買ってくださる方、何度もブースの前を通ったのち買ってくださる方、出展者の方、たくさんの方が来てくださいました。
終わりには大好評だったヒダマルさんお手製のブックマーカーをおひとついただきました。なんと愛くるしいお化けちゃんなのでしょう。数年前に落としてしまってからしおり難民でしたが、これで解決です。長く使います。
そのほかにもついつい廃墟が表紙で買ってしまった短編集や装丁が真っ白でかっこいい、しかもオムニバスという大好物のもう1冊を戦利品とし、文学フリマ福岡は幕を閉じました。この日の来場者数はパンフレットが足りなくなるほどの人数、800人だったそうです。いくつもの創作魂が熱を帯びて行き交う会場は冷房が入っているのに熱く、いろいろな方の想いを聞くこともでき、ひさびさに「創作」とそれをとりまく現場や人と近づいた1日となりました。
*廃墟残
残りストック:確か12くらいだった気がする
*おまけ
当日どれだけ楽しかったかは主催のヒダマルさんが楽しく書いてくださっていますので、こちらをぜひぜひぜひご覧くださいませ。(毎日更新なさっているので随時ここにリンクを勝手に貼っつけます)
文フリが終わったあと、これを買うのになぜか店員さんに年齢確認されましたけれど、お土産屋さんでかわいい一瞬梅酒を手に入れました。
それから人だかりにミーハーぶって近づいたところエヴァンゲリオンのプロジェクションマッピングなどを嗜み、締めのひとつといたしました。わたしはエヴァンゲリオンも耳をすませばも攻殻機動隊も見たことがなく、大学時代散々非国民だと言われましたけれど、そんな人間でも素直に感動するショーでした。
博多駅東急ハンズのマンホール特集売り場になぞらえて、文フリマンホールのらくがきでおしまいです。(チョコレートでもパンでもありません。)
やっぱりいちからなにかをつくるのは楽しいです。この感覚はひさびさでした。何歳になってもどんなに心が擦り切れても、表現したいこと、伝えたい芯さえあれば、創作はできるのだなと痛感いたしました。きっかけを与えてくれたヒダマルさんに、改めてお礼をお伝えします。ありがとうございます。
さ、福岡の廃墟メモが始まります。