廃墟ガールの廃ログ

廃墟散歩の備忘録

その233:満月跡地【気まぐれ福岡/飯塚市】

 

 

タイトルだけで分かったら……100点

 

*基本データ

 

場所:福岡県飯塚市幸袋(こうぶくろ)

行った日:2019/10/19

廃墟になった日:70~80年前か

詳しく:70~80年前まで営業していた2階建ての遊郭跡地。建物自体は100年以上前のもの。幸袋の交差点にあり、豪邸・旧伊藤伝衛門邸が目と鼻の先。

ここまでで分かったら……80点

 


*評価

 

怖さ:★★☆☆☆

廃れさ:★★★★☆

見つけやすさ:★★★☆☆

 

 

*あれこれ

 

「幸袋」、こうぶくろだそうです。今回はそこまで難読ではありません。(cf.答えは各ページへ。志免→その230:志免鉱業所竪坑櫓&志免鉄道【気まぐれ福岡/志免町】 - 廃墟ガールの廃ログ天道→その231:住居跡×2【気まぐれ福岡/飯塚市】 - 廃墟ガールの廃ログ目尾→その232:コンクリート遺構【気まぐれ福岡/飯塚市】 - 廃墟ガールの廃ログ)

 

f:id:hiyapa:20191104202044j:image

 

この辺の地名の名前がつく交差点ですから、地域で1番強い場所はここなのでしょう。(そうでしょう)(cf.交差点廃墟→その67:店舗跡(モリヤ人形店隣)【川越浪漫散策2/3】 - 廃墟ガールの廃ログ)

交差点だけで分かったら……50点


f:id:hiyapa:20191104202051j:image


f:id:hiyapa:20191104202015j:image

 

かなり奥行きのある建物のようです。緑枠の窓のゾーン、障子のような窓のゾーン、そしてさらに奥、と続いています。

ここまでで分かったら……30点


f:id:hiyapa:20191104202028j:image

 

すぐ手前隣は月極の駐車場になっています。この写真がもっとも側面の構造が分かる写真です。ちなみにこちらも普段のiPhoneではなく、カメラ使用ですのでいつもより鮮やかです。


f:id:hiyapa:20191104202054j:image

 

最果てのゾーンは老朽化がほかよりも強く、3D構造になっていました。オレンジの四角が落ちてきそうです。


f:id:hiyapa:20191104202038j:image

 

障子のようなゾーンはかなり特徴的な窓がはまっています。ところどころは歯抜けになっており、まるでストラックアウ……

ということで、こちらの廃墟はヒダマルさん(id:hidamaru)が以前『廃墟ボーイの廃ログ。』として書かれていた記事の物件になりますお近くまでドライブしていましたので、同じ物件で同じフォーマット、面白いかなと思い寄ってみました。さっきからあった点数はヒダマルさんのファンであればここがどこだか分かるよねの度数となります。タイトルでピンときたら100満点です。ヒダマルさんのファンの方がそもそもここに来るのかって話で身内ネタも甚だしく申し訳ございません……。

 

 

www.hidamaruanime.com


f:id:hiyapa:20191104202002j:image

 

うきうきで写真を撮っている廃墟ガール、すると、近くから呼ぶ声がします。5枚前の写真に停めてあった軽トラがこちらへ進んできて、運転席のおじいちゃんが窓を開けてこちらに呼びかけているのです。怒られるかと思いました。終わりを覚悟しました。

裏からも撮ったげて!!

 

f:id:hiyapa:20191104211755j:image

 

おじいちゃんはこの建物のご近所さんで、この建物の歴史を知る方だったのです。この歯抜け窓のはまるガラスは鉛ガラスで、いまなら1枚5000円くらいで売れるそうです。こんなにも抜け落ちていることが悔やまれます。軽トラックは幸袋の交差点をブロロと走り去り、そしてなぜか1周して戻ってきました。おじいちゃん、忘れ物をしたそうで、戻ってきました。そして車から降り、ご近所さんのよしみで、ここからなんとわたしだけのために、ガイドをしてくださったのです

(cf.おじいちゃんガイド→その93:加納合名天王町ビル+α - 廃墟ガールの廃ログ)


f:id:hiyapa:20191104201952j:image


f:id:hiyapa:20191104202019j:image

 

本来の入口は、現在は駐車場のフェンスで封をされてしまっている、こちらなのだそうです。確かに立派な階段が構えていらっしゃいます。この引き戸を引くとすぐに2階へ続く階段がずらっと伸びていて、2階は畳が100畳くらいの大広間になっているとのことです。きっと圧巻なのでしょう。


f:id:hiyapa:20191104201938j:image

 

入口の位置関係がよく分かる1枚となります。右手に駐車場の白フェンス、手前の空間――今であれば絶対にここは車庫でしょうね――、道路、となります。


f:id:hiyapa:20191104202012j:image

 

道路に面している眺めです。


f:id:hiyapa:20191104202041j:image

 

上の特徴的な窓の部分は銅版だったのだそうです。錆が目立っていまではある一部の人間にはすばらしいと感じられる味わいですが、当時はもうすこし豪華絢爛な出で立ちだったのでしょうか。


f:id:hiyapa:20191104202102j:image

 

「こういうね、ほらいまは管が通ってないところなんかを撮るといいよ」と、おじいちゃんがアドバイスをくださったので撮りました。廃墟のなんたるかを分かっていらっしゃる方でした


f:id:hiyapa:20191104201942j:image

 

そしてなんということか、いまおじいちゃんはご近所さんのよしみで(2回目)、このあずき色の向こうを作業場として借りているらしく、慣れた手つきで鍵をあけ、作業場部分だけですが中を見せてくださいました!! 電気も通っていないような、ほんとうに作業場、倉庫、のような品揃えでしたけれど、この建物を支える大きな梁と、2階を支える一枚板のすこしを、拝むことができました。こんな板は今じゃ仕入れられないよ、とのことでした。息を呑むとはこのことです。写真は当然ながらありませんけれど、貴重な経験をありがとうございました。


f:id:hiyapa:20191104202006j:image

 

この深緑あみあみトタンで守られている部分は格子になっていて、ここからかわいいきれいなおねいさんたちがチラ見えするので、ちろちろ覗いてどの子にするか選び、決めたら2階へレッツゴーというシムテムなのだそうです、物理的カタログ、大事な部分です。


f:id:hiyapa:20191104202048j:image

 

「この柱にある飾りも、今じゃこんな飾りある建物はないから撮ったらいいよ」でしたので、撮りました。ちなみにチーバくんの口元あたり出身のわたしでは再現できませんが、おじいちゃんはとても訛っていらっしゃいました。方言っていいですよね。萌えですね。


f:id:hiyapa:20191104201945j:image


f:id:hiyapa:20191104201949j:image

 

ここは別の飲食店の気がします。そういう意味では正面ともいえるでしょう。


f:id:hiyapa:20191104202032j:image


f:id:hiyapa:20191104202058j:image

 

そして最後に裏面です。直線と曲線の混じったデザインの窓が続きます。特注なのでしょうか。


f:id:hiyapa:20191104201955j:image

 

普段なかなか中に入ろうとせず外周だけ眺めてさくっと終わる廃墟ガールですが、この日このときは違いました。どこのインターネットを調べても載っていないような情報をお聞きすることができました。ひとり旅というのもあって、たっぷりゆったり時間を使ってお話をお伺いしました。とてもたのしかったです。

 

 

*廃墟残

 

残りストック:7

 

 

*おまけ

 

f:id:hiyapa:20191104200930j:image

 

「壁に絵が描いてあるでしょう、これはほんとうに珍しくて、この間もテレビが取材に来たんだよ、これも撮んなさい」とのことでした。


f:id:hiyapa:20191104200933j:image

 

ここは2時間ドラマのようなストーリィがありそうな名前の薬局です。おじいちゃんとさよならしたあとに見つけました。

また、おそらく本来は飯塚市に観光に来たといえば行かねばならぬのであろう旧伊藤伝衛門邸は次の予定(廃墟)が詰まっていたため、こんかいはお邪魔していません。おじいさまには伊藤邸の改修前の箇所が写ったお写真(フィルム焼いたもの)を見せていただきました。

まとめてみて気づきましたけど廃墟ボーイの廃ログ。とは真逆の流れでのお散歩でした。きっかけを与えてくださったヒダマルさん、改めてありがとうございます。