廃墟ガールの廃ログ

廃墟散歩の備忘録

その74:太陽家具呉店

 

 

*基本データ


場所:広島県呉市(呉駅から歩けそう)
行った日:2018/02/11
廃墟になった日:2017年末か
詳しく:中国・九州地方中心に多店舗展開する株式会社太陽家具百貨店の一店舗として1985年3月にオープン。以来32年間の長い歴史に幕を閉じ閉店。

※2021/07/02追記。2020年に解体された模様。
 


*評価


怖さ:★★☆☆☆
廃れさ:★★☆☆☆
入りやすさ:☆☆☆☆☆


 
*あれこれ

 

5-56でも、魏呉蜀トリオでもありません。呉市(くれ)です。

 

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造船所の町として有名で、実際に船を上げる光景を見られたり、潜水艦の中に入れたりします。

(奇跡的な加工写真を1枚目にして記事一覧のときこのブログは素敵な風景写真を良さげに加工したものを載せているTwitter#ファインダー越しの私の世界とかタグ付けしちゃうキラキラ女子の主催するものなのだろうかと一見様を錯乱させる効果があります。ないです。)

 

商店街は寂れており、駅付近でももう少し散歩すればいくつか記事の数字が増えそうでした。

 

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1日目の雨とはうってかわって、この日は晴天でございまして、雲も程よくあり、空色と白と廃墟くすみ色がバランス良くそこに有りました。

 

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(通例ですとは電話番号は人のお顔などと同じでモザイクするのですが、今回はあまりにも看板の一部を担っていてデザイン性が高いのと、住居兼店舗と違って確実に閉店していますので隠しておりません。かけたら本社へ転送になる可能性もありますが‥‥)

 

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見るからに歴史的建造物です。これが32年分の業績や社員と利用者の思い出たちの汚れなのです。誇らしい汚れなのでしょうね。

 

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看板と柱、塗装のはげかかった具合が「いかにも」です。看板のすぐ下には、等間隔で金具のようなものがありますので、シーズンごとにフェアののぼりが何度も何度も何度も何度も飾りかわったことでしょう。

 

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どんな理由で閉店したのかはまったく知りませんが、少しもの悲しい気持ちで晴れた空の下、眺めました。32年って、すごいです。学習机をここで買った小学生は学習机を買ってあげる子供がいるでしょうし、新生活のベッドをここで買ったひとはもっと大きなダブルベッドで誰かと寝ているでしょうし、ダイニングテーブルをここで買ったご家族はお子さんが独立されてなんだか広くなったテーブルにお2人で座ってお茶を飲んでいるでしょうし、一世代ひとつのものごとが続くってそれくらいの時間が流れているのです。

 

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廃墟になる前から、最高の場所だったことは間違いありません。

(ちょうど煙突のようなお写真が撮れました。)

  


*おまけ

 

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2日目はよく晴れておりながらほわほわした、ひと塊が大きな雪が終始降っていました。空港に近づきまして、これにて広島編はおしまいです。

 

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2.5年前の池島(cf.その8:池島【画像大量】 - 廃墟ガールの廃ログ)ぶりの飛行機は離陸がセンターオブジアースのようで楽しめました。次からは関東に戻ります。まだまだ廃墟とともにあります。探検してゆきます。

 

そして、いつもこんな廃墟の紹介しかしないページにいつも優しくコメントいただいている方のブログにて、なんと廃ログが紹介されました‥‥!! ガールといいつつがっつり会社員ですので、昼休みにiPhoneをチラ見したらチラ見で済まされませんでした。あな嬉しや。KONMA08(id:konma08)さんとてもありがとうございます。

その73:うずしお観光ビル

 

 

2023/01/08更新……再訪写真追加。

 

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雨がひどくなってきました。尾道の記事はひとまずここまでです。(cf.活版カムパネルラ→その70:店舗跡【広島県尾道市】+廃墟探検願カードをつくりました - 廃墟ガールの廃ログ、魔女宅→その71:住居跡【広島県尾道市】 - 廃墟ガールの廃ログ、実証実験→その72:多門亭茶屋跡地 - 廃墟ガールの廃ログ)

 

 

*基本データ


場所:広島県尾道市
行った日:2018/02/10
廃墟になった日:不明だが2010年時点では廃墟化していた模様
詳しく:地元のホテル跡地。屋上にはゴンドラがあり、尾道を一望できた。


 
*評価


怖さ:★★★☆☆
廃れさ:★★★★★
入りやすさ:★★★☆☆


 
*あれこれ

 

尾道駅からの個性溢れる商店街、千光寺公園への山道坂道一帯、そのどちらをも少し逸れた住宅街にそれは佇みます。

 

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8年前から少なくとも廃墟になっているようですが、「うずしお観光ビル」で検索しますと、Google先生もしっかりと位置を把握してらっしゃいます。ですので、こちらは2018/02/10現在、かなり行きやすい廃墟となります。なんせナビが案内してくれますので‥‥。

 

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「目的地に近づきました」のアナウンスはこの建物付近で鳴ります。なかなか衝撃な見た目をしているのです。

様々なアングルから一周していきます。まずは遠巻きに一枚。ここに着いた時間帯のがすごく、空がなんともアンニュイな色味をしています。余談ですがこの灰色ともともいえないのぺっとしたベタ塗りの空が(今回ちょっと雲ありますけど)わたしは1番好みです。

さらに近づいてみましょう。

 

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四階建ての建物、四階は展望台つきレストランだったのでしょうか。魚眼のような窓が判別できます。屋上にはゴンドラがあったらしいです。一介の観光ホテルとしてはかなり奇抜です。やっていれば泊まってみたいです。

なんにせよ、朽ちています

 

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不思議な構造です。素直に上に真っすぐは伸びられなかったようです。添え木が間に合わなかったのでしょうね。

 

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反対側からの眺めはこちらです。ゴンドラのレールの跡がより細かく見えます。楽しそうです。

 

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裏手にきました。周りを見て分かります通り、ほんとうにいっぱしの住宅街にでんとあるのです。隣接する裏手は駐車場になっていました。

 

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 管理人のいた事務所でしょうか。看板が無惨な状態です。

 

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裏側のおどろおどろしさも圧巻です。

 

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眺めているうちは、住宅街であることも、雨が降っていることも忘れ、立ちつくします。

 

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上の階を雫の中見上げて、

 

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濡れながら下のフロアを見つめます。

いろいろなしがらみさえなければ、こちらの裏口階段から入店できそうでした。保存状態はぎりぎりの雰囲気がありますので、踏み入れた途端どうなるか、不安は満載です。

 

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空と外壁のくすんだ色味が合っていて、雨の中さまざまなドラマの生まれそうなシチュエーションでした。実際には近隣住人の移動にまつわるすれ違いしか起こらず、かなり閑静でございました。

 

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不思議と不気味と無骨と絶妙な均衡が渦巻くうずしおホテルです。

では、肝心な顔となる正面はいかがでしょう。

 

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いまは観光ホテルよりももっと実用的な使われ方をしているようです。

ここをこの場所に指定した自治体様の計画書や経緯をぜひインタビューしてみたいものです。ゴミ当番がまわってきたら廃墟の一階の鍵を手に入れ、廃墟の扉の開け閉めを管理するわけです。人生でそんな経験を一度でもしたことのあるひとというのは人口の何パーセントでしょう。捨てに行くのも廃墟と目と鼻の先です。「うずしお観光ビル」の掠れた文字を見てしみじみしようとするも、どうしても頭に入ってくるのは「紙類」「警告」ばかりです。鑑賞性と実用性を兼ね備えまくりまくった、生ける者との共存を目指した新しいかたちの廃墟でした。