廃墟ガールの廃ログ

廃墟散歩の備忘録

その159:ホテル京都「&」

 

 

*基本データ

 

場所:茨城県日立市高鈴町5丁目2(たかすず)

行った日:2019/01/13

廃墟になった日:1970年代以降か

詳しく:高鈴団地の近くに隣接して2軒のラブホテルがある。これはその片割れ。どちらも廃墟。

 

 

*評価

 

怖さ:★★☆☆☆

廃れさ:★★★★☆

見つけやすさ:★★☆☆☆

 

 

*あれこれ

 

ことの重要度の高低は置いておいて、何か選択を強いられることは生きていれば多々ある。たとえば今日、きのう届いた新しいパンプスと履き慣れたブーツどっちを選ぶか。お気に入りの揺れるお花と仕事でも使っているパールのピアスどっちを選ぶか。待ち合わせまでの乗り換えルート。今日の晩ごはん。助手席でなんのラジオを流すか。そしてこれからどう言葉を選ぶか。選択肢の数はさておいて、イエスノーで答えられない質問だとしても、人生は今までしてきた選択の積み重ねというのは、こんな場所で私がまとめなくたって、さんざん言われてきていることでしょうから、教訓じみたことを垂れ流したいわけではなくて、たとえば今日の晩ごはん、何が食べたい? って私が聞いたら、なんでも良いよと薄ら笑いを返してくる。私が言いたいのはこれのこと。そこに意思はないの? その表情の真意は何? 当たったときの賛辞も、はずれたときの非難も、どちらも私だけのものにして、彼は一切責任を負わないの。かれこれ3年も、選択を逃げているのだ。毎回とはいわずとも、もう少し人生を全うしたって、良いんじゃないの。もう長いこと、この薄ら笑いを受け止め続けては、それをもやもやした感情に変えている。

 

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近くには駅も高速道路もなくて、坂をのぼりきったさらに奥まった細い道のどん詰まり、こんなところにあるホテルなんて、最悪に決まっている。集客が素人の私にいわせても、失敗としか考えられない。住宅街の家たちを見たら、そこまで新しい外装ではないようで、住宅地になる前からこのホテルがあったとしたら、オープン当初はもっと宿泊客が見込める立地だったのだろうか。しかも、隣り合って二軒も。お向かいさんがライバル店とは、どんな心境になるだろう。

私は彼に聞く。「どっちに入ろうか?」

返ってくる答えは想像できるのだけど。


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宿泊の単価が高そうなほうを選んだ私たちは3部屋のうちのひとつに車を停めた。それぞれの部屋には名前がついているみたい。ぼうっと光った長方形には達筆な楷書が見える。


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京都、か――他の2部屋も地名がついているようだった。このホテル自体の名前でもあるから、この部屋が一等、ということかしら。


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どうやらオーナーは歴史が好きらしい。歴代の京の上に立ち、一夜をともにする男女のためのラブホテル、ということのようだ。まあ、なぜか唐突にビッグになって海外を持ち出してくるよりはマシでしょう。車からスムーズにアクセスできるよう、階段がすぐ横に待ってくれている。


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車の鍵を私に預け、階段をすたすた昇っていく彼の後ろ姿はもうひとまわりは小さい。ため息をついた。

ふざけないで。


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ドアが閉まったら、私は選択しなくてはならない。もうアナタの薄っぺらい笑いなんて、気にしてはいられない。


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朝が来たら、チェックアウトまでにちゃんと言おう。

別れようって。

 

 

*廃墟残

 

残りストック:3

 

 

*おまけ

 

みたいなことが繰り広げられている場所だったら面白いですね。いや面白くはないですかね。というメモです。まったくフィクションです。しかも、つ、続きます。→男性目線隣廃墟その160:「&」ホテルスイス - 廃墟ガールの廃ログ(廃れ具合が素晴らしい物件です。レンタカー返却の時間の関係でまったく長居できなかったのですが、もう一度訪れたいです。)

(cf.ここ近く→その158:本城建築事務所跡 - 廃墟ガールの廃ログ、cf.ナポリのホテル→その97:ナポリの太陽【画像大量】 - 廃墟ガールの廃ログ)

 

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ティンキーウィンキーもいました。わたしはラーラが好きです。

その158:本城建築事務所跡

 

 

*基本データ

 

場所:茨城県日立市高鈴町(たかすず)

行った日:2018/01/13

廃墟になった日:不明

詳しく:

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ココ

 

 

*評価

 

怖さ:★★☆☆☆

廃れさ:★★★☆☆

見つけやすさ:★★☆☆☆

 

 

*あれこれ

 

茨城県水戸市からじわりじわりと下道で北上し、那珂市(http://hiyapa.hatenablog.com/entry/2019/01/17/232550))ひたちなか市(その157:ホワイトハウス【茨城県ひたちなか市】 - 廃墟ガールの廃ログ)とまいりまして、ついに日立市に突入です。日立はロッコ(国道6号の略称です)直結ですぐ行けるところもあれば、高萩や北茨城に近いかなり北よりのところもありまして、今回は高速に乗りました。まさか1人で慣れ親しんだ茨城に来てレンタカーを借りて高速走るとは、当時のわたしは思いもしないでしょう。

(cf.日立→その5:廃団地【茨城県日立市】+α - 廃墟ガールの廃ログ)

 

日立市のイメージは坂多し駐禁多し、工場最高といった具合です。昔茨城に住んでいた頃、3分間駐車禁止の路肩に停めただけで駐車禁止の黄色紙を貼られたことがあります。15000円しっかりお支払いしました。

 

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坂の途中の、ナントカ台ナントカヶ丘と名のつく住宅街の手前の建物です。お分かりいただけますでしょうか。


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写真を撮るのが下手なのではなくて、被写体が斜めなのです。ちなみに右上には社名と電話番号が書いてあり、念のためぼかしておきましたが、番号は6ケタでした。市外局番を足せばちょうど良いのでしょうけれど、10ケタの世界で生きるわたしたちからすると、違和感でしかありません。(cf.足りない電話番号→その61:フレンドショップにいはり - 廃墟ガールの廃ログ)


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当然、良くいえば儚さ悪くいえば危うさを孕んでいる中身ですし、黄色い結界もありますので中は危険です。


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窓枠も平行四辺形になっていますし、ガラスも枠の形に納まっていません。すべての線がはちゃめちゃな方向をそれぞれ向いています。


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隣は住居だったと予想されます。こちらも木材が自我を持ち放題です。


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新興住宅地が塊になっているかと思えばすぐ隣がこんな景色だったり、ニュータウンと名のつく一帯の最寄りのコンビニが潰れたりと、平然と起こりうるのが茨城、というか日本のだいたいの地はそうである気がします。

 

 

*廃墟残

 

残りストック:3(減ってまいりました)

 

 

その157:ホワイトハウス【茨城県ひたちなか市】

 

 

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田と空の二分割された景色がもうすこし続きます。

 

 

*基本データ

 

場所:茨城県ひたちなか市田彦(たびこ)

行った日:2018/01/13

廃墟になった日:2004年には廃墟だった模様

詳しく:新潟のホワイトハウス、千葉のホワイトハウスと並び日本三大ホワイトハウス(?)として知られる。どこも心霊スポットとして有名で、こちらのホワイトハウスは一家惨殺事件が起き2階にランドセルの少女の姿が見える噂あり。火災で焼けておりいまにも倒れそうな状態。

 

 

*評価

 

怖さ:★★★★☆

廃れさ:★★★★☆

見つけやすさ:★☆☆☆☆

 

 

*あれこれ

 

茨城県内で黒廃墟と対をなす白廃墟です。ノスタルジィの在り処より肝試しで有名のようでした。

(cf.黒→その14:ブラックマンション 【茨城県笠間市】 - 廃墟ガールの廃ログ)ホワイトハウスとブラックマンションって女の子2人1組の敵で出てきそうですよね。ルキノキちゃんのような。

 

 

場所としては前回の那珂市のまたひとつ上、那珂と日立の間のひたちなかです。じりじりと北上しております。

(cf.那珂→http://hiyapa.hatenablog.com/entry/2019/01/17/232550)

 

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地図も丸く切り抜いたのでせっかくですから貼っておきます。*基本データの事細かっぷりは心霊スポットとしての側面が大きく、データが豊富に検出できたためです。(cf.有名だと情報豊富→その94:【お待たせしました】クイーンシャトー【元住居から徒歩3分】 - 廃墟ガールの廃ログ)

 

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手袋をつけた紳士なおててが指す緑の塊へ向かいます。その156に引き続き長閑代表といった景色です。犬の散歩をする方、ジョギングをする方とすれ違います。世間では3連休の中日、家で体力を持て余しているちびっこの体力を削るべくお出かけ準備をしている車の前のお父さんを横目にします。


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なんて平和と思える写真なのでしょう。しかし、細い水路に沿って緑がひとかたまりあり、景観に配慮して自然が空気を読んだのか、鬱蒼とすべく周りを囲ませた廃墟の力かなんなのか、想像に留まりますが、なんらかの意図があるようにここだけが森となっています。


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左右見てみることにし、まずは水路コースの左を攻めました。

 

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ホワイトハウスを守る木々は四季に則りその色を落としつつも、思い思いの方向に伸びていまして、水路コースはほぼほぼ建物の姿が確認できません。若干青空がところどころに抜かれている、穴あきの壁が見えるだけです。好きなものは最後にとっておくたちですので、はじめに左を選んで良かったと思うことにしました。さて右の畦道コースはいかがなものでしょうか?

 

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木々が間隔をあけているところがあり、メインかは分かりませんが入口だったのでしょうか。こちらには入らず脇をゆきます。

 

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見えてまいりました。2階建ての家屋です。


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こんな晴れた空の下なのにこの周辺だけなんだか薄暗く、木々に隠れていて、しかも左コースがアレですしそこまで外からは見えないのだろうなと高を括っていたところでしたので、はっと息を呑みました。

 

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壁のブロックひとつひとつの危うさ、デザインとジャンルづけするにはあまりにも狙いのないランダムな歯抜け、家の中まではしりまわる蔦たち――ひと眺めするだけで、鳥肌がたちました。


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1箇所、家屋の中が見える場所があります。もしかしたら数多肝試しとしてこちらにやってきた先人の、何度も繰り返される動作によってこじ開けられたスポットなのかもしれません。


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さっき通った反対側の光が見渡せます。暗かったですが焦げた階段や壁などがありました。

少女の霊云々はなんならこの記事をメモしようと思ってさっき調べて知りましたけれど、さすが日本三大ホワイトハウス、凄みによってだんだん怖くなり、ぐるりとしてこの場をあとにいたしました。

(cf.茨城ホラー→その94:【お待たせしました】クイーンシャトー【元住居から徒歩3分】 - 廃墟ガールの廃ログ)

 

 

*廃墟残

 

残りストック:4

 

 

*おまけ

 

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きわのほうに、三輪車だか一輪車だか、大人はなかなか使わないようなものが落ちていました。緑と灰色ばかりの一帯に珍しい差し色です。ちょっぴり生活や暮らしのあとを見つけて安心するととるか、これは少女の使っていたものではととるか、考え方次第ですね。