*基本データ
場所:長野県千曲市上山田
行った日:2018/07/15
廃墟になった日:廃墟じゃない
詳しく:厳密には廃墟ではないらしいが、見学申請をしない限り封鎖されている。また日本歴史館隣の敷地内に城山駅と温泉駅を繋ぐ「城山ミニロープ」(1969-1992)跡地もある。
*評価
怖さ:★★★☆☆
廃れさ:★★★☆☆
入りやすさ:観音寺事務室へ申し込み
*前回までのあらすじ
空が高くて晴れてお祭り騒ぎでiPhoneも人間も暑い→その115:住居跡【灼熱長野1/6】 - 廃墟ガールの廃ログ&その116:廃団地【灼熱長野2/6】 - 廃墟ガールの廃ログ&その117:深山荘【灼熱長野3/6】 - 廃墟ガールの廃ログ&その118:信州観光ホテル【灼熱長野4/6】 - 廃墟ガールの廃ログ
*あれこれ
お目当ての信州観光ホテルを無事に見届け、どちらかというと近くになにかあるかなとついで程度で検索していた「日本歴史館」を目指すことにしました。廃墟、というより珍スポットというくくりのほうがしっくりくるような博物館、とのことです。
信州観光ホテルから日本歴史館は歩いて30分ですので、タオルと汗ふきシートと飲み物を携え、ルートを、見ます。
あら?
坂道の滑りどめの砂があります。
禍々しいサイレンの音が聞こえてきそうな、このルートは――?
拡大してみて、はっと納得しました。この等高線が見えますでしょうか。徒歩30分とはいったものの、この表示は、滑りどめの砂が緊急で入用になるくらいの急勾配山道を30分しかもこの炎天下歩けるもんなら歩いてみろよという意味なのです。いろは坂や箱根ターンパイクのようなくねくねをわずか身長×0.45の繰り返しで進めるもんなら進んでみろよという意味なのです。
ほんとうにきつかったです。なぜレンタカーを借りなかったのでしょうか。空気が可視化するのであれば、朝の通勤ラッシュのように混雑していて、その中を一生懸命ぬって進んでいる感覚でした。
引きに引いて眺めると、「上山田温泉♨︎」と光る文字が山に現れるようで、その裏側が分かります。自分の鼓動と蝉の声がうるさく、逃げ場のない密度最高の熱気、加えて登り途中で爆音が定期的に響きます。きょうは地域をあげてのお祭りなので、景気づけに花火が打ち上がっているようでした。
花火打ち上げ会場として立ち入り禁止になっている可能性を心配しつつ、わたしは山岳部だったかなと、県大会の直前の最終調整中の登りこみかなと、そう疑問を抱く頃、到着をしました。
左手の文字は「城山医学図書館」とあります。おそらく室内用だった回転イス、妙に背の低い電話ボックス、奥に直立されておはします石像など、覗けます。
石像が続きます。本館が右にみえてきました。
この展示がほんとうに開催されているのかは外からでは分かりません。
ともかく、どうやら山岳部ではなく、廃墟ガールだったことを思い出しました。肩で息をしながらも、iPhoneを構える手だけはぶれずに観察です。
正面入口です。
この短い橋を渡って歴史館へ入るのでしょうけれど、きらりと長い蜘蛛の糸が張られていました。こんな横幅を渡る繊細な糸が壊されないくらい、ひとの出入りはないようでした。
むかいのお寺はここまで来たものを受け入れてくれるゴールの様相をしていました。
ここでがぶ飲みしたカルピスはどんなお酒よりも貴重で美味しかったです。
ちなみに旅館組合のベンチに座ってじっと体力の復活を待っている間、おじい様がぞろぞろやってきて「あれ? きょうってやりますよね?」と聞かれ、祭りのことを言ってるのかと思い部外者がタイムテーブルなぞ分かるわけもなく答えあぐねてしまい、お互いハテナがたくさんのアンジャッシュのようなやりとりをしました。山の下で力強く進むお神輿が、このくねくねを登って、このお寺に集合するのか、ならそろそろくだれなくなるから早めに撤退したほうがいいのか、憶測が飛び交いましたところ、お祭りはまったく関係なく、これからお寺で法事が行われるだけでした。どうりで途中ご年配の方々が乗る車が颯爽と坂を登っていたわけです。
医学図書館の奥に、先述のロープウェイ乗り場が見えます。工場もそうですが、錆びた巨大機構は萌えますね。(cf.工場→その102:中華料理 東洋軒 - 廃墟ガールの廃ログ)
置かれた火薬を一瞬でカメラにおさめたあとは、謎の達成感と汗だくの衣類をまとい、くだってゆきます。
ありがました。
*廃墟残
残りストック:5
*おまけ
写真たちを見返してみると、かなり序盤で撮った上山田温泉への眺望に、日本歴史館が写っております。
ここまでよく歩けたものです。