*基本データ
行った日:2022/02
廃墟になった日:1997年頃
詳しく:1918年から1922年に建てられた送信施設。現在でいうと250億程の費用がかけられた。鉄筋コンクリート製の3基の無線塔がシンボルで、高さは136m。国の重要文化財に登録されている。
*評価
怖さ:★★★☆☆
廃れさ:★★★☆☆
見つけやすさ:★★★★☆
*あれこれ
こんかいいろいろ見に行った中ではここが1番お気に入りかもしれません。無料で健全に侵入できる場所です。(cf.バックナンバー→その448:きっちんせいじ【バースデー長崎1/7】 - 廃墟ガールの廃ログ、その449:住居跡群【バースデー長崎2/7】 - 廃墟ガールの廃ログ)
まずは電信室入口と書かれた階段へ。見学は無料でできますが解放時間が決まっているから調べて行ったほうがよいです。
嗚呼もう中に入らなくても十二分にごちそうさまでしたといった具合です。フォントすら愛おしい。もう来てよかったと締めの感想を抱くほどです。
でも中にも入れるのでもちろん入ります。ヘルメットが用意されているので取ります。
1歩踏み出しただけでもわかる、中も最高です。その373: 【画像大量】旧相川拘置支所【1年越し佐渡4/4】 - 廃墟ガールの廃ログやその400:旧福島県尋常中学校本館【400記事】 - 廃墟ガールの廃ログのお仲間です。
コンセントくんやスイッチくん、電球くんが散見される世界です。かわいい子たちがそろい踏みです。歓喜です。
この彩度の低い――もちろん海軍の所有物だったようなので保護色でもともと造られているのでしょうけど、人の手ではなくて、「時間」の手によって彩度を落とされていったの意です――世界、引きこまれます。お美しい限りです。
そして移動して火薬庫です。酢酸の匂いがしました。稼働をやめて25年程経つのに、壁や天井に染みついた酢酸の威力、脅威です。ここだけレンガ造りです。
引き続き絶好調でスイッチやら配電盤やら配管やらばしゃばしゃしていて、このつまみを撮ったのち、人知れず短く叫んでしまいました。写真の木板の右奥、黒くぶら下がっている物体があります。コウモリでした。撮ってから気がつきました。すんっと真顔のまま静かにこの場を立ち去りました。バサバサっとならず良かったです。
暗闇の倉庫を経由して機械室です。天井が高く天窓も高く体育館のようなドーム型でした。大迫力です。
かわいらしい文字情報シリーズ。
詳しいことはてんで分からないのですけど、縦線の鉄格子の向こうのガラスのはまった格子の向こうの建物の出入口のスライド扉の格子と、縦線と横線の交差が続きます。画になります。
その372:【廃墟探偵集続報あり】佐渡金山【1年越し佐渡3/4】 - 廃墟ガールの廃ログにもあったような、複数個あるぶらさがる機構。
反対側も。窓からの光がさしこみます。建物内には明かりがほぼないのでコントラストが綺麗です。
琺瑯の看板、錆びたバルブの曲線、上下に伸びるチェーン、どれをとっても心躍るアイテムばかりです。
ごちそうさまでございました。
電信室をあとに、唯一中が見学できる無線塔の3号へまいります。1枚目は膝を土にべた着けてあおりまくってやっとてっぺんまで入ったものです。日本の遊園地にあるフリーフォールで最も高いのが100m、タワーオブテラーも59mしかありません。フリーフォールを造るのに高さの規制があったと思いますが、この無線塔をフリーフォールにするとしたらぶっちぎりナンバーワンを誇れるわけです。(cf.タワーオブテラー→その37:ホテルハイタワー跡地 - 廃墟ガールの廃ログ)(cf.観音像を観覧車にするとしたら→その344:世界平和大観音像【サンライズ出雲途中下車3/4】 - 廃墟ガールの廃ログ)
異様な光景でした。中に入ると、このアングルで延々とする塔の中を覗くのみなのですが、肉眼では(カメラでも)光は見えませんでした。心もとないはしごと、伸び続ける鉄骨と、等間隔にその骨組みを支える補助的横線のシルエットが、無限に広がっています。さらに衝撃なのは、靴音や手を叩く音、人間の声など、音を出すと反響して、塔の中を音が反復横跳びして、昇ってゆくのが分かるのです。「音が昇る」をこんなにしっかりと体感することはそうありません。たったのワンカットの場所なのですが、正直電信室よりもこちらのほうが長くいたのではないかと思えるくらい、無限の筒と音の昇華を堪能しました。ほんの数歩の空間でも、異世界と呼ぶには十分でした。お気に入りです。
今度こそ、ごちそうさまでございました。しかし長崎編はまだ続きます。