廃墟ガールの廃ログ

廃墟散歩の備忘録

その606:【写真大量】旧奈良監獄【滑り込み参加】

 

 

*基本データ

 

場所:奈良県奈良市般若寺町18

行った日:2023/12/03

廃墟になった日:2019/03/31

詳しく:1908年竣工、明治五大監獄と呼ばれる刑務所。1946年に「奈良少年刑務所」へ名称変更。耐震性の理由などで閉鎖。2026年に星野リゾート系列のホテルとして生まれ変わることが決定している。

 


*評価

 

怖さ:★★★★☆

廃れさ:★★★★☆

見つけやすさ:12/10のツアーをもって立入禁止

 


*あれこれ

 

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前回の地図子さんとの夜散歩と抱き合わせのその605:①奈良市水道計量器室②【プチ冒険×廃ログ】板橋井戸探し - 廃墟ガールの廃ログのすぐ近くにはかの有名な巨大廃墟がいらっしゃいます。(cf.前々回→その604:椿井市場 - 廃墟ガールの廃ログ)


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出し惜しみナシ、どんどこまいりましょう。旧奈良監獄です! 参加したのはラストランから数えて3回前の見学ツアーです。星野リゾートへ売却が決まり、もう中を見ることはできないと思っていたところに情報が流れてきて、見事に滑り込むことができました。感無量です!(cf.ツアー→その394:化女沼レジャーランド【画像大量3/3】 - 廃墟ガールの廃ログその581:避暑失敗北海道⑦ - 廃墟ガールの廃ログその586:避暑失敗北海道⑳㉑ - 廃墟ガールの廃ログ)


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門だけでも十分な見応えです。ちなみにもう解体や工事が進み、有名オブ有名なハビランド方式の独房――パノプティコンとは少し違う、放射線状に独房棟が伸びて中心に看守が配置される形式の構造のことです。360度ぐるぐる回って監視の目が効率よく行き届きやすい点は同じです――は見ることができませんでしたけど、存分に貴重な体験でした。


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奈良監獄というものの、最後の正式な名称は奈良少年刑務所です。25歳まで収容されていたそうです。


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これは門足元のレンガですが、真ん中のブロックにうっすら刻印が見えます。これは、ひとつひとつレンガを受刑者が焼いて積んでしていく中で、誰が焼いたか分かるよう刻印をそれぞれつけていたものを、当然内側にして見えないように積んで景観を保ちますが、いたずら心の芽生えた受刑者がわざと表にしてはめた結果なのだそうです。

 

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門の両脇にある螺旋をぐるぐるし上へ。


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外からでも特徴的な丸窓です。


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もう片付けられている感が漂っていました。星野リゾート売却にあたり、文化遺産になっている部分は残したり、資料館を作ったりといろいろ条件があるようです。きっとこの門もホテルへの入口として残り、上で美しいハビランド方式のレンガ造りやバエバエする自撮り写真の撮れるスポットができることでしょう。

ついでに段ボールの「奈少刑」が気になりました。こんな略称もう2度と目にしないでしょうね。

 

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絶賛工事中でした。とりあえずありのままを目に焼き付けたいので、行けてよかったです。


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ツアーの順番とは若干異なりますが門から入って左側、収容品倉庫です。受刑者の1日や写真展示、ドローンの映像上映などが行われていました。上空から見ると放射線状に伸びる独房がよくわかり面白いです。


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オシャレです。


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特別写真展も。旧奈良監獄の写真の特別展示かと思いきや普通に各地の廃墟の写真で拍子抜けしましたが旧奈良監獄にいながらほかの廃墟もいただけて一石二鳥と思うことにしひと通り見てまわりました。


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なんてことない窓もおしゃれに見えてしまいます。レンガってすごい。


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お次は食糧倉庫です。天井の高い建物で、中は奈良監獄の歴史や少年刑務所についてのパネル説明などになっていました。


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ハビランド方式の図案が展示してあります。ほかにも江戸時代の刑罰の種類や、犯した罪によって入れられる刺青の形図解などゴールデンカムイ好きなら激アツな展示もありました。


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模型もあり、構造がなおさらイメージしやすいです。星野リゾートになってもこの構造はそのままになるようです。ガイドさん――看守経験のあるかたです――によると、ひとつの棟を中心の丸から行って帰ってするのに往復で5分、人工衛星のように6つの棟を一晩中行き来してパトロールするのだそう。一晩で20キロ(正確な数字を失念してしまったので違うかもですが)ほどになると聞き、歩く面積とキロ数の比例しない最たる例みたいなデータにただ驚愕します。

 

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お次は今回のツアーのメインです。


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シンメトリィが美しいレンガ造り。左から入ってゆきます。

 

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アクセスとしては、この廊下を進んでくの字に右折して入る形です。左手はハビランドの独房。


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曲がりました。先頭はガイドさんです。面白く頼もしいかたでした。

中に入る前にこの廊下が美しいので、ツアーが終わって僅かな自由時間で撮り直したものをまずは。

 

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フェンス越しでもわかる装飾美がそこに。


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レンガ越しでもわかる透かしブロックもここに!


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入りたかったなあ、の後悔を一生抱えた人生になってしまいました。こればかりはご縁なので、残された映像や資料に思いを馳せるのみです。


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撮っているのを撮られた写真の姿勢は悪いですが撮った写真はお美しいです。


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ではまいりましょう。医務課だそうです。旧漢字の「医」はその507: 【画像大量】杉浦醫院【撮りすぎ山梨7】 - 廃墟ガールの廃ログその531:五十嵐医院【撮りすぎ静岡2/10】 - 廃墟ガールの廃ログその556:【画像大量】済生館&文翔館【サクラ山形5/6】 - 廃墟ガールの廃ログでもおなじみです。


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医務室なので完全なる独房ではありませんが、このエリアにも独房があります。


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処置室です。窓の形がかわいらしいですし、光がたくさん入ってきそうです。


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ゲームカセットはありませんでした。(cf.洗面台にゲームカセット→その274:廃民宿【カオスカミス4/9】 - 廃墟ガールの廃ログ)


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丸くひらけた空間で次に入るドアを選びましょう。(cf.円形広場→その586:避暑失敗北海道⑳㉑ - 廃墟ガールの廃ログ)


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良き眺めです。

 

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天気が良い昼下がり、無機質な建物内でも射し込む光が優しいのがわかります。


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ささやかな外廊下を渡り医務所へまいりましょう。

 

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独居房ゾーンです。ここが1番の目玉で人気でした。自由時間にもう1度来て静かな写真を撮ることができました。


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この扉は厚さ10センチ、閂のような鍵で閉めます。難攻不落の独房です。


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備品一覧もドアに貼ってありました。その373: 【画像大量】旧相川拘置支所【1年越し佐渡4/4】 - 廃墟ガールの廃ログにもありましたね。


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足元には小窓があって、ここから食事などやりとりをするそうです。この小窓ですら分厚さがうかがえます。


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先述の閂のとおりで鍵はこれだけではありませんのでご安心ください。にしても、刑務所としての役目を終えた今では無骨な室内のアクセントになっていて良い味出していらっしゃいます。

 

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反対側も独房が続きます。なぜかこちら側はドアがカラフルでした。赤色の扉、黄色の扉、青色の扉と区別して呼ばれていそうです。


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ぶたちゃんにもプチ監獄体験をさせてあげました。(廃墟ガールは謎の「狂気ぶた保護協会」という非公式団体の代表理事をしています。活動の一環でぶたちゃんのアクキーを作っています)

 

twitter.com


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洋式トイレが2つ。木枠がクラシカルでお洒落です。


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ここからは様々な独居房セレクション。


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このへんがお気に入りです。白の内と緑の外。


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何遍でも書きますが、消失点が真ん中にある構図の写真はいくらあってもよいのです。

 

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外へ出ました。こちらは隔離病舎です。蔵のようなサイズ感とデザインです。


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説明書きを読んだらかわいらしいサイズとデザインでもその働きは結構バイオレンスなものでした。


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こちらは江戸時代の牢獄です。俗称の由来が面白いですね。構造は面白くありません。

 

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シンメトリィの裏側に出ました。赤茶のレンガに合わせた色合いの中、このスロープが目立つ黄色と黒に塗られているのは阪神ファンの看守のいたずら心によるものだそう。


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統一された細長い窓がまたあります。

 

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なんだかこの写真だけミニチュアみたいなフィルタになってしまっていますが外には運動場もあります。向こうに見えるレンガの窪みに見張りがはまっていたそうです。


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ここでじっと見張るのはそれはそれで神経をすり減らしそうです。


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またもやいたずらのイニシャルが掘ってあります。山間のちょっとした展望台の手すりやベンチじゃないんだから……


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窪み体験できました。


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脱走した受刑者がいた場合、何番の方向に逃げた、封鎖しろなどど指示しやすいナンバリングです。ガイドさんの現役当時の脱走事件エピソードも興味深く拝聴しました。

 

 

*おまけ

 

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年内最終更新です。もしここまで読んでくださったかたがいらっしゃいましたら、今年もありがとうございました。今のところまだ飽きず来年も気ままに気まぐれにメモしてゆきたく思いますので、お暇つぶしにお散歩くださいますと幸いです。