最後です。3/3です。1記事辺り65~75くらい写真があるので、いかに狂ったようにシャッタを切っていたかが分かります。こういう真ん中が道でずっと続いているような構図が好きでトンネルとかレインボーブリッジとかいろんな場所でやってしまいます。
水を運ぶパイプが足されるだけで一気に産業感と文明あった感が増しますね。そうこちらは副音声ですので写真の邪魔をしないように心がけます。
2/3の最後に出てきたお猫に案内され探していたのはこの画角です! 5年前と同じアングルで写真を撮りたかったのです。なんと画像右側にガードレールができています。あと9号棟の緑化が顕著。廃墟ガールは猿手? 猿腕? なので関節おかしいですけど腕折れてません、ご安心ください。
パイプのアーチを両脇の団地たちに祝福されながら通ります。
2/3に出てきた8階建て団地も好きですが、このへんも好きです。あ、8階建てのところに書くのを忘れました、パンフレットを見て知りましたが8階建て団地は当時にしては珍しい水洗トイレが完備されていたそうです。それが当時の最先端技術なわけです。お風呂は公衆浴場共用です。というか、今回なんと島にお住まいの方と話す機会があったのですが、教員や公務員が住むような新しい団地――わたしにはそれがどこを指すのかはピンときませんでしたけど――を除いて、団地はお風呂やエアコンもないところが多いようなのです。現役で使われていても、です。夏は扇風機でがんばったりするのだそうです(いまはさすがにエアコンはついてるようですが)。ですので2/3にあった公衆浴場は宿泊客だけではなく島民の方々、またこれも聞いた話ですが釣りしに来る方もいて車中泊するらしいのですが、お風呂だけ施設利用ということで浸かりに来たりするそうで、様々な方に使っていただいている銭湯なのでした。
パイプ
池島診療所跡です。入れません。さっきのお猫についていくと鍵が手に入る、鍵を4つ集めると診療所が開く、このステージのボスがいるなど、設定を妄想しながら見学しました。ボスなどいませんよ。
そうそう、5年前はこの通りに「のぐち」という美容院だか理容院の看板がありました。1/3に出てきたまえかわと人気を二分するサロンですね。看板はどこかにいってしまっていました。
全校生徒3名(推定)のための保健だより
これ好きです。連なっているので団地ともわかる上、奥は窓の風通りが抜群、手前は枠組みがへしゃげてバランスゲームをしていて、ひと目で「 廃墟の団地」と分かります。おまけに空は晴れ。
やっぱりこういう構図。
ずっと顔がにやけっぱなしでした。
池島を歩いている間、自分が住むならどこかって話をしていまして、わたしは2/3に出てきた8階建てに決まりましたが、旅仲間のヒダマルさんはこちらです。ほんとうは1/3の繁華街近くに住む予定で決まっていたのですが、ここに変わりました。もうひとりの旅仲間たけぞうさんはどちらでしたっけ……ジブをロードする特等席でしたっけ……たけぞうさん記憶力に乏しく申し訳ありませんよろしければ教えてくださいませ。
この奥にホース直差し露天浴槽(お風呂としては使われていない模様)がありまして、5年前は見ましたが今年は行きませんでした。
野生の冷蔵庫
たぶん彼らの前世は夏祭りの帰りの電車で疲れた彼女と迷惑がりながらも内心嬉しくてドキドキの彼氏、向かいに座る社畜リーマンですね。
ほかの団地は公営住宅ではないのでしょうか。
開きませんよ。
団地レボリューションを終えて、あと少しだけ、周りきっていない、1/3でスタートにしようとした炭鉱入口からみて左ゾーンをゆきます。すこしずつマジックアワーになってきました。
この写真好きです。マジックアワーと微かな雲の線、うしろに佇む団地たちと無骨な骨組みたち。
かっこいいやつが見えてきました。ここのカーブ、鏡はなくても事故は起きないみたいです。
隙間からも海または空。
かつての産業の香りがしてきます。
このAくんたちは昔はただのAではなく、頭上にちゃんと一本筋を渡して物流経路を支えていたのだと思われます。「左がリーダーのレッド、次が頭に飾りをつけてるクールなブルー、次がちょっとずんぐりむっくりしたイエロー」とか戦隊ものにたとえてげらげらしているのは間違いです。わたしはブルー推し。このひとたちずっとろくなこと話してないですね。こういうくだんないやりとり大好きです。
危ないところもありました。5年前はこのへんで海から登ってきたであろう大量のフナムシを見つけて絶叫していました。
そして満を持してジブローダーのお目見えです! かっこよすぎました。これは操縦するには選ばれし者でないとというのも納得です。てのはただの妄想で、ジブローダーは炭鉱で採れた石炭を運ぶときに使うものだそうです。すべての炭鉱にあるわけではなく、レア機材のようです。
右端に伸びていた部品は5年の間で落ちてしまったみたいです。
迫力満点!
炭鉱のシルエットが素敵です。
ベルトコンベアの裏。
先程から右手に見えていたかっこいいやつシリーズのラストを拝みましょう。こちらはトリンマーって名前で、採った石炭をジブローダーへ→ベルトコンベアに載せる→トリンマーへ→船への流れのトリンマー部分を担当しています(なんて頭の悪い説明)。UFOキャッチャーみたいです。
ここにトロッコみたいのを載せて手前まで運ぶわけでしょうか。
あ、1/3のはじめに見た景色に戻ってまいりました。やっと1周です。最終フェリーまで居座りました。フェリーを待つ間に島民の方々とお話ししました。けっこうロケで芸能人の方がいらっしゃるみたいです。5年前にご結婚して池島に移り住んだ女性の方ともお話ししました。むかし池島をモデルにしたおはなしを書きましたが、そのときは池島で育った子が島の外に出たときのギャップもテーマのひとつというか、実際に5年前池島に来て強く思ったことだったので、舞台にするなら「書きたいこと」だったのですが、この方はその真逆です。矢印の方向が違うだけで、受ける衝撃は同じくらいあるのでしょう。どんな覚悟やどんな思いで池島町の住民になったのか、気になりました。フェリーまで別の方のお見送りに来ていたおばあさまは、先日の九州台風では団地がこぞって停電になり、みんなで山の上にある中央会館に集まって避難した、とお話してくださいました。120人しかいないわけですから、きっと島全体が家族なのでしょうね。
これから先池島の人口は増えることより減ることのほうが簡単なのだと思います。5年間で80人も減っていました。つぎの5年ではどうなるのでしょう。でも、この5年で話しかけてくださるひとが増え、池島マップが豪華になり、ベニヤ板にらくがきしたけんけつちゃん(2/3参照)は変わらず残っていました。これは別のところにも書いたのですが、また5年経ったときまだわたしが廃墟好きでいたら、再々訪したいです。そのときは中央会館に泊まって公衆浴場でいい湯だなとして、アイスを食べながら星を、そして濃紺から真白に、風や香りも含め、空の姿ががらりと変わる様を、じっくり眺めながら時を過ごしたいです。贅沢で甘美な時間に違いありません。またそのつぎの5年が続いているのなら、お姉さんに倣って移住してしまったりして。5年前に池島に行っていなければヒダマルさんの本におはなしも書いていませんでしたし、おはなしを書いていなければたけぞうさんにお声かけいただくこともありませんでした。それくらいは、思い出深い場所なのです。
「わたし自身は嫌煙家だが、きっとこんなときに、夜空へ不連続な煙を昇天させる奴のことを、ロマンチストというのだろう。」
とかなんとか書いてあるのが、池島がモデルになった島が舞台のおななし、廃墟探偵シリーズです。主催は池島にも来てくださったヒダマルさん(id:hidamaru)です、ご興味のある方は覗いてみてくだせいませ。
自作の宣伝で終わるという最低なラストになってしまいました。最終回ではございません。普通に、続きます。改めてここまで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、またお散歩してくださったヒダマルさんたけぞうさん、ありがとうございました!