廃墟ガールの廃ログ

廃墟散歩の備忘録

その587:避暑失敗北海道㉒

 

 

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なにもかもスケール桁違いの北の大地北海道編、やっとこれにて終了です! 9月から新しい環境になり(と書くと高校生みたいですね)ありえないくらい更新が空きました。はじめは背の高い建物がなく拓けすぎていて日差しを全身で受け止めるしかない灼熱北海道、後半は雨で寒々北海道、雨が上がってやっと涼しめ北海道をこのときだけ味わえました。このときだけ。(cf.バックナンバ→その578:避暑失敗北海道①② - 廃墟ガールの廃ログその579:避暑失敗北海道③ - 廃墟ガールの廃ログその580:避暑失敗北海道④⑤⑥ - 廃墟ガールの廃ログその581:避暑失敗北海道⑦ - 廃墟ガールの廃ログその582:避暑失敗北海道⑧⑨⑩ - 廃墟ガールの廃ログその583:避暑失敗北海道⑪⑫⑬ - 廃墟ガールの廃ログその584:避暑失敗北海道⑭⑮⑯ - 廃墟ガールの廃ログその585:避暑失敗北海道⑰⑱⑲ - 廃墟ガールの廃ログその586:避暑失敗北海道⑳㉑ - 廃墟ガールの廃ログ)


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実はここに行こうと決めたのは前日です。洞爺湖近辺は意外と行きやすいのではないかと思いつき、遠そうと行程から外していた場所を改めて持ってきました。結果とんでもなくおもしろい場所でございました。同行者さんの提案にかんしゃです。


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ここを歩いている間、何度「え、ここ日本のポンペイじゃん」とつぶやいたことでしょう。有珠山の噴火では多くの死傷者が出たということはないけれど、今後の火山活動の研究、噴火後の地殻変動や植物、流されたものたちの経年変化を調査するために、なるべくそのままの状態で残してある場所というのが、どうしてもポンペイを思い出すのです。ここがおそらく1番有名であろう沼と化した国道、標識、電柱、プリウスですね。沼って1度はまるとなかなか抜け出せない、は比喩ではないということ。その364:グリーンファーム【晴れの国岡山2/3】 - 廃墟ガールの廃ログしかり。


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いかんせん同じような遠目からの構図の写真ばかり撮ってしまうのだけど、23年でこんなに当たり前の顔して草なんて生やしちゃってる凹凸のこの地形が噴火によって流れてきた土砂だったりする、まずその背景が凄まじいです。


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もうすこし寄って撮ってもらいました。

 

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初めに出会ったアイス屋さんしかり、観光向けのお店がいくつかありました。もちろん例の件で廃業されています。


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いばらき県民が怒りますよ。2年間水戸に住んでいた廃墟ガールは思うのでした。


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手前の空間は窪み、板張りも心もとなさそうでした。好奇心で踏み抜いたら最後でしょう。


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海沿い、という感じがします。


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あら! 双子のソフトクリームちゃんがいました。お行儀良いです。(cf.ソフトクリーム→その222:ONE HAPPY PARK【清里遠足レポート⑨】 - 廃墟ガールの廃ログその358:店舗跡【水路天国富山3/3】 - 廃墟ガールの廃ログ)


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大型業務用冷蔵庫も横向きだとなにがなんだかです。


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からのバス~!(cf.バス→■ - 廃墟ガールの廃ログその378:【画像大量】住居跡?【岳南鉄道】 - 廃墟ガールの廃ログその570:奥利根館【みなかみぐんま4/6】 - 廃墟ガールの廃ログ)


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双子ソフトクリームちゃんで喜んでいたら、アイス絞る機械もありました。野外では初です。


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ちゃんと細長フォントの自動扉。


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頭隠して尻隠さずになっています。恥ずかしがり屋なのかしら。


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バスの影にはとんでもないものが。原住民で避難された方々が集めたのだと思いたいものです。


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奥には民家になっていそうな建物も発見しました。まだ歩いて5分くらいです。早くもうはうはです。と同時に理解します。まだ散策路の手前です。ふらっと前日に追加したスケジュールにしてはボリューミィになりそうであると。㉑の絵鞆小学校でカメラのバッテリーは2目盛減ってしまっています。


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横にずれまして。これはなんでしょう? 野菜などの無人販売……? 正解はわかりませんでした。

 

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横にずれますと、一般的な民家のそばに使われていない商店跡のようなものが。別の散策に来た男女2人組に向け、そこにお住まい――もしかしたらお住まいなのではなくいまは避難して別のところに住居はあるものの、所有していてお世話しに来ている格好かもしれませんが――のご婦人が当時のお話をしていらっしゃいました。みんなで避難したなどのお話だったかと思われます。このお家にはねこちゃんが何匹かいてかわいかったです。

 

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夕方や冬季はここが閉まるみたいです。ゆかいな水辺の生き物たち。


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さて散策路のはじまりです! 環状ではないのではしまで行ったら戻るお散歩です。斜め具合がわかりやすいかと人間を置いてみたら、合成並の歪みになりました。当時土砂が流れてそのままになった角度で保存してあるようです。もう興味深い景色です。


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このへんからは歩けるのは木の板ゾーンです。道路はコンパクトにたたみこまれ割れています。中央線の白がかろうじて認識できます。その上から23年で育つ緑たち。


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上り坂の散策路を歩いていたら右側にみどころ来ました。

 

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三つ折れ電柱と、


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一通とかの方向を示す標示! 本来なら絶対にこんな地面と近いわけがない、見上げているものがこんな目線に! 「うわ~電柱が折れてる! 矢印もあんな上に!」って叫んでしまったくらい。


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別角度からは折れ電柱には50キロ速度制限の標識がついていることがわかります。萌えでしかない。そして自然の脅威にも衝撃を受けます。

 

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徐々に丘のようになっている地形を登ってゆきます。当時工事に使われていた重機がそのままになっていました。夏の緑が覆いかぶさりまくっていたのであまり全貌はわかりませんでしたが、興味深いアイテムです。(cf.重機→その527:高見リゾートホテル【爆走海道4-4/6】 - 廃墟ガールの廃ログ)


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重機はわりと(噴火で新たにできた地形の)山の頂上より地点にあり、そこからすこしの場所に工場跡もあります。噴石で屋根が落ちてしまったとのこと。あと重機あたりエリアは高温熱湯が噴き出すスポットが地雷のように眠っているらしく、柵の外に絶対出てはいけませんと書いてありました。絶対出ません。


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噴石が落ちて穴のあいた天井からは緑がにょきにょきしています。


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お菓子の原料の豆畑が一帯にあり、その工場だったそう。畑もなければ工場も穴あきで、さかんな産業だったと思えない有様に一瞬にして変貌を遂げたのでしょう。さまざまな感情が渦巻いていることが簡単に予想できます。

 

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ここで電柱をおかわり。

 

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くねくね進み、倒壊した家屋の保存エリアに。お隣には倒れてそのままのブロック塀があります。平衡感覚狂わせにきている向きです。


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画像を横向きに変えたら重力を操れるひとの写真になるのではと思ってやっているところです。髪の毛や服の向きでばれます。

 

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屋根が床でした。


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奥のほうにサッシなどが見えます。倒壊した一般家屋、としての保存ですけど、相当な豪邸サイズです。


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車も横付けされていました。実家や実家の周りを考えても、こんなに外塀がしっかり囲まれている家はありません。


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機構丸見え。車の構造を知るのに良い資料みたいになってしまっています。(cf.車→その248:住居跡【鎌倉市】 - 廃墟ガールの廃ログ)

 

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近寄ると危険な香りしか漂わせていないこちらはトンネルだったそうです。てっぺんから木が生えています。


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反対側の入口に来ました。散策路は一直線、もう片方の出入口というわけです。車をあっちに置いているので見終わったらおさらい的に戻ります。矢印がかわいい。はしっこは欠けています。


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反対側の出入口付近にあるのは幼稚園です。噴火したのは3月、警報を聞いて全園児が避難でき、死傷者はいなかったのですって。それと遅れてちゃんと卒園式なども行われたのですって。


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まずは裏面から。木刀を思い出します。洞爺湖の道の駅にはちゃんとまだしっかり木刀売っていました。


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奥には散らばった椅子や垂れてきた天井などがまぜこぜに見えます。

 

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横。幼稚園というか、余生は植物園として過ごされているきらいがありますね。


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曇りだったせいかもですが、園児が毎日元気に登園するにはちょっとばかしおどろおどろしいかもしれません。23年で彼は変わってしまいました(?)。


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ゆかいななかまたちももの悲しそうです。

 

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こちらは常設展コーナーですね。ダイナミックで直線的な緑たちが垣根を越えてお出迎えしてくれています。


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月並みな感想ですがどんな場所でも緑の成長を妨げられないのと、自然の力は恐ろしくそして凄まじいことが見てとれます。そもそも今まで見てきている散策路は、先述もしましたが噴火後、被害にあった建造物がどうなっていくか、またその上から芽吹いた自然の行く末を観察、研究する目的で残してあるのですから、観光地でもありますが、見守られの真っ最中でもあるわけです。


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抜かりなく緑。


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こちらは特別展示ですかね。


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サッカーゴール? もあります。向こうにバスも見えますね。


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バスは2台廃になっていらっしゃいました。入口付近で見たバスとはまた趣が違います、送迎バスですから。こちらはさっきとは別のほうで、バス停に立っていたであろう棒とご一緒です。もう忘れている頃ですのでまた廃バスリンクを貼ってしまいます。そうです序盤でバスが出てきているのをすっかり忘れていました。(cf.バス→■ - 廃墟ガールの廃ログその378:【画像大量】住居跡?【岳南鉄道】 - 廃墟ガールの廃ログその483:七洋園&太公望【海辺和歌山5/10?】 - 廃墟ガールの廃ログその570:奥利根館【みなかみぐんま4/6】 - 廃墟ガールの廃ログ)


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とってもらいました、とうやこようちえん。

 

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もっと鮮やかで注意喚起しやすい黄色の車体だったのでしょう。


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屋外にある現代アート、と言われても信じてしまいます。


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ちらと画面端に映っていたもう1台のバスはこちらです。赤めカラー。


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ひょうたん池もありました。当時は池の主がいらっしゃったのでしょうか。


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更に山のほうへ向かうと、斜面を利用して造られた高低差滑り台が残っています。この滑り台は元々もわりとスリリング――山の斜面沿いですからね――だったのが、噴火による地殻変動でさらに鋭角になってしまったものだそうです。急すぎる滑り台。不本意なキャッチコピーでしょう。


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斜面を登って、幼稚園と園庭を眺めました。園児も先生も惨事にならなくて良かったの限りです。重機や三つ折れ電柱と比べるとかなり麓に位置しますので、土砂崩れや噴石が激しかったのではと予想します。


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来た道を戻りに戻って沼標識まで来ました。1時間半くらいわーきゃー言いながら写真をばしゃばしゃしながら歩いたでしょうか。お犬ちゃんのお散歩に散策路を活用されている方やご家族でいらっしゃった方などには軽々と追い越されてしまいました。加えて一方通行なので車で来たならば絶対に戻らないとならず、端から端まで行かない方も多いようでした。歴史的にも非常に重要な場所でしょうし、刹那と螺旋、生と死、人工物と自然などの対比をめいっぱい吸い込こめる場所でもありました。行って良かったと心から思います。

これにて過剰摂取の北海道編は終了です。トリにふさわしい場所でした。湿気はないけど日差しをしかと受け止めるしかない北海道、雨だと激寒北海道、まっすぐ続く2車線の北海道、下道でもびゅんびゅんの北海道、ありがとうございました。